
【団地ちょっとレポート】MUJI×URの設計者と歩く「鈴蘭台第1(名谷エリア)」
MUJI×UR団地レポート | 2025.3.25
1月、新年を迎え冬晴れの中、唯一の無印良品店舗内にある「グランフロント大阪 MUJI×URモデルルーム」のモデルとなったプランがある「鈴蘭台第1団地」にて、5回目のお散歩レポートは緩やかにスタートしました。
MUJI×UR団地リノベーションプロジェクトに関わって10年余り、全国70団地ほどでリノベーションに関わってきたMUJI HOUSEの松本と、NPO法人プラス・アーツ理事長永田 宏和さんと神戸市北区に位置する団地のお散歩の様子をレポートします。
写真左から、MUJI HOUSE 松本、右はNPO法人プラス・アーツ理事長 永田 宏和さん。
今回ご紹介する団地情報
・鈴蘭台第1団地:六甲山の北側、神戸市北区の南部に位置する鈴蘭台は、阪神地域のベッドタウンとして大きく発展。現在は神戸市北区の行政や商業の中心地になっている。周辺には同じくUR賃貸の第2,4,5団地があり、第3,6,7は分譲団地となっており、大きな一つの団地郡を形成している。
松本
今回一緒に団地レポートして頂けるのは、地元デザイン・クリエイティブセンター神戸「KIITO」のセンター長でもある、NPO法人プラス・アーツ理事長の永田さんです。
永田
楽しみにして来ました。今日はよろしくお願いします。
松本
神戸でこのお散歩企画をするときは絶対、永田さんに声をかけようと思っていたので、実現できてよかったです。お忙しいところ快くご承諾頂きありがとうございます!
永田
水くさいことはなしでいきましょう笑。
松本
永田さんとは前職でご一緒にお仕事させて頂いて以来ですね。僕がMUJI HOUSEに入社して10年目なので、ちょうど10年前くらいになりますね。
永田
そんなに経つんですね。良品計画さんとはよくお仕事していますが、こんな形で、しかも「団地」でまたお会いできるとはですね。
松本
ですね笑。今日は永田さんの視点でぜひ団地についてお散歩しながらお話し頂けたら幸いです。では参りましょう。今日は団地についてUR兵庫エリア経営部の方にご案内していただきます。
UR
今日はよろしくお願いいたします。早速ですが、まずはここ「鈴蘭台第1団地」の商店街からスタートします。
松本
商店街は小さいながらもどこも埋まってますね。
永田
ここはコーヒー屋さんですかね。今日はお休みなのは残念です。
松本
鈴蘭台第1に来るのは2020年にMUJI×URのプランを導入して以来なので5年ぶりですけど、こんな配置の団地だったんですね。
ポイントハウスが高低差をつけながら雁行して配置されているのが美しいですね。
永田
この細長い住棟は何のためにあるんですか?
松本
一つは単純な景観にならないためだそうです。まさにポイントハウスですね。また、丘陵地の場合、平らな土地に造成するが大変なので、元の地形を生かして建てるには横長よりも縦長の方が有利という話も聞いたことがあります。
永田
確かにそうですね・・!面白いですね。
UR
実際、窓が多くなり日当たりや風通しが良くて、どの団地でも人気の住棟です。
松本
この先にあるのは、よく見る中層階段室型の住棟ですね。
松本
なんか安心感がありますね。
松本
気がついたんですけど、今歩いただけでも公園がすごい数あるんですけど・・・
UR
そうなんです。鈴蘭台第1団地は1,330戸ほどの中規模の団地ですが、10以上の大小の公園が点在しています。
松本
大規模団地並みの数じゃないですか・・?すごいですね。
永田
いい環境ですよね、自然も山も近くて。
松本
この消火栓、レトロでかわいいですね。建設当初のですかね・・?
松本
丘陵地の団地だけあって高低差は結構ありますね。
永田
この上にも公園がありますね。
松本
さらにその奥にも公園がありますね。しかも何か特徴的な遊具?山?がありますよ・・!
松本
この角度、ヤバくないですか・・。子供が登れるんですかね・・
永田
昔、こういう公園にある山で遊びましたよね笑。最近ではこうした遊具も減って来ているようですが。子供が全身を使って遊べる遊具も貴重ですよね。
松本
今日が仕事でなかったら登ってみたいですね笑。
松本
この先は、さらに上に上がるんですね・・汗
永田
結構しんどいですね・・汗
松本
住棟がL字に配置されているということは、南北採光だけでなく、東西採光の住棟もあるってことですね。
永田
この階段室の横の鉄扉がついたものは何ですか?
松本
これは、今は使われていない昔のダストシュートの跡ですね。昔は各階にある投入口からゴミを捨てるとダクトをとおって一階に落ち、鉄扉の中にたまったゴミを回収してくれたそうです。今より便利ですよね。
永田
今は何も使われていないのはもったいないですね。
松本
これを活用できるといですよね。例えばダクトを利用して宅配専用のミニエレベーターにしてしまうとか笑。
永田
いいですね笑
松本
最近考えているのは、この階段室を利用した防災ができないかと。階段室を中心に、5階建てだと、左右に2世帯づつ、全部で10世帯が最小の単位で1階のエントランスに、防災に関する情報、設備、備蓄などがあるような。
永田
なるほど。これだけ大きな団地の場合どこかに集約しているより、分散していた方が効率的ですね。実際、団地にはどこかにそういう場所はありますか?
UR
ないですね。
松本
この「階段室型の住棟から考える防災」は引き続き考えていきたいと思っているので、またご相談させてください!
永田
ぜひぜひ笑。
松本
ちなみにこっちの階段室の一階は珍しい作りになってますよ。僕もたまにしか見たことないです。
永田
これは面白いですね。向こう側が見えている。
松本
どうしても横長の住棟は動線上は壁になってしまいますが、真ん中に通り抜けるトンネルがあるだけで、空間が繋がりますね。こういう実験的なことを、50年前にすでに行っているのを見つけるのが楽しいです。
UR
ちょうどこのあたりの住棟のお部屋をご用意しているので行ってみましょう。
グランフロント大阪のモデルルームで再現された部屋と同じ間取りの住戸になります。
松本
ぜひ行きましょう。
松本
懐かしいですね。間取り自体は3Kの40平米くらいで和室が3室ですが、MUJI×URのプランも割とそのままの間取りを生かしてふすまだけ外して1LDKの間取りに変えています。ここがその元の間取りのお部屋ということですね。
永田
キッチンもこのままですか?
松本
MUJI×URの場合は変えています。持出しキッチンというカウンターだけのキッチンで収納がないタイプのキッチンです。最近では、この通常キッチンをそのまま生かしたプランもあって「MUJI×UR Parts Room」というシリーズになるのですが、取手だけをオリジナルの木製取手に交換します。それだけでも結構かわいくなるんですよ。
永田
洗濯機はこの位置ですかね。
松本
はい、少し狭いんですけど、この洗面台の横にしか置く場所がないんですよね。洗濯機の置く場所は結構プランによって変えていて、キッチンの排水系統を利用してバルコニーの近くに置くこともあります。意外と洗濯を干すのが楽になってよかったりします。
永田
建設当時はまだ洗濯機も一般的ではなかったんですね。今となっては洗濯機置き場をどこに置くかが団地のリノベーションを行う上でポイントになっているんですね。
松本
そうなんです。毎回試行錯誤してます笑。
永田
この木部の塗装の塗り分けは何でしょうか。
松本
これは、ふすまを閉じた時に、和室側は素地の木部で、洋室側は塗装になるように塗り分けてあるのですが、MUJI×URでは、飴色に経年変化した木部を積極的に残しているので、生かすところ、変えるところを見極めることもリノベーション を行う上で大事ですね。
UR
最後にまた商店街に戻って来ました。
管理サービス事務所と集会所があるのでご案内します。
松本
あっこんなところに、公団マークが笑。
永田
えっどれですか?
松本
このスリッパにある風車のようなマークです。住宅・都市整備公団の初期のマークだそうです。団地内のマンホールとかでもよく見ます。それにしてもスリッパってそんなに長持ちするものなんですかね笑。
永田
確かに笑。大事に使われているんですね。
永田
レトロでかわいい集会所ですね。コミュニティの場所として使用されているんですかね?
松本
最近は、「MUJI×UR団地まるごとリノベーション」において共用部であるこのような集会所をリノベーション することも行っています。若年層の方にも積極的に集会所を利用してコミュニティの活性化を図るのが目的です。
永田
いいですね。こういう団地が持っている財産を積極的に利用しながらコミュニティを図ることは、すごく可能性を感じますね。
松本
ここの商店街も二階が住居になっていますが、このような住みながら商いができる施設も団地ならではですよね。今の若い人たちにとっても新しいライフスタイルの提案になる可能性を感じています。
永田
住戸にとどまらず、色々やっているんですね。感心します。
松本
恐れ入ります笑。
松本
ちなみにこの表示杭には、日本住宅公団のマークがありますね。
永田
住宅・都市整備公団のマークとは違うんですね。
松本
住宅・都市整備公団のさらに前身が日本住宅公団だそうです。
「住」マークがパースの効いた住棟を表しているそうですよ。
永田
団地を散歩することでURさんの歴史を知れるんですね笑。
松本
毎回、団地遺跡探検している気分になります笑。それが楽しいんですけどね。
UR
鈴蘭台第1団地を堪能して頂けてよかったです笑。
それでは、次に同じ神戸市にある垂水区の名谷エリア、落合団地に行ってみましょう。