
【団地ちょっとレポート】MUJI×URの設計者と歩く「落合(名谷エリア)」
MUJI×UR団地レポート | 2025.3.25
MUJI×UR団地リノベーションプロジェクトに関わって10年余り、全国70団地ほどでリノベーションに関わってきたMUJI HOUSEの松本と、NPO法人プラス・アーツ理事長永田 宏和さんと神戸市須磨区に位置する団地のお散歩の様子をレポートします。
写真左から、MUJI HOUSE 松本、右はNPO法人プラス・アーツ理事長 永田 宏和さん。
今回ご紹介する団地情報
・落合団地:神戸市須磨区の名谷エリアにあり、最寄り駅は神戸市営地下鉄西神・山手線の「名谷駅」。三宮からは20分の距離で利便性が高い。駅を中心に多数の団地が形成されており、通称「赤道(あかみち)」と呼ばれる歩車分離された歩道で団地、公園、学校が繋がり、静かで暮らしやすい落ち着いた環境というのも特長の一つになっている。
UR
先ほどの鈴蘭台第1団地がある神戸市北区から移動して須磨区にある名谷エリアに来ました。ここは名谷駅を中心に開発されたニュータウンで、大小様々な団地が隣接しています。UR賃貸住宅だけでも7つの団地があります。
松本
ここ名谷エリアにある落合団地は、まさに僕にとってMUJI×URのキャリアがスタートした場所なので思い入れがありますね。2014年だったので10年前です。
UR
今日は名谷駅から歩いて界隈の団地を散策しながら落合団地まで行ってみたいと思います。
永田
私は2023年に、「リノベーション 神戸」をテーマに名谷エリアでトークイベントをファシリテートさせて頂いたことがあって。その時に通称「赤道」を知るきっかけにもなりました。
松本
この歩道橋もすでに床が赤いですが、これがそのまま落合団地まで続いて、本当に車道とは一切交差しない、まさに「歩車分離」を体現した道ですよね。
UR
まず正面に見えて来たのが「ルゼフィール名谷東団地」で、UR賃貸住宅と神戸市営住宅が併存しています。それぞれの高層棟に囲まれた中央の広場では野菜販売なども行われていて賑わいを作っています。
永田
それはいいですね。小さいお子さんもたくさんいそうですね。
松本
駅から徒歩で、すぐにこの天然芝の公園がある環境はいいですね。
松本
素敵な場所でしたね。
UR
続いてまた歩道橋を渡って向こう側の団地に行きましょう。
歩道橋の先にある赤い屋根の団地は分譲の「中落合第1住宅」です。
永田
赤い屋根がかわいい団地ですね。
松本
この先には歩道橋ではなく、トンネルがありますね。歩車分離が徹底されてます。
永田
トンネルの両サイドはベンチでしょうか。
松本
つるつるのコンクリートで気持ちいい笑。
松本
次の歩道橋の先にもまた団地がありますね。
UR
はい、こちらも分譲の「中落合第2住宅」になります。
永田
分譲の団地が多いですね。
UR
そうですね。今、名谷駅の東側の赤道を歩いていますが、URの団地は、北側と南側、あと、名谷公園の周辺が多いですかね。
松本
ちょっとした高級住宅街の雰囲気がありますよね。中層の住棟が並んで車も通らない道が続いていて、緑もたくさんあって。
UR
間も無く、次の歩道橋を渡ると「落合団地」になります。
松本
見えて来ましたね。
松本
やって来ました落合団地。久しぶりに来ました。
永田
白いですね笑。もしかして住棟もMUJI HOUSEさんのデザインですか?
松本
はい、色彩計画をさせてもらいました。住棟はあくまで暮らしの背景で、住む人が主役というコンセプトの元、真っ白に塗装を行いました。妻側の壁はアクセントで少しだけ薄いグレーを入れています。住棟サインも残してそのまま生かしました。
永田
ここも住棟に囲われた中央に大きな公園があっていい雰囲気ですね。
UR
今日は、MUJI×URの住戸も用意しているので是非ご覧ください。
松本
では懐かしの住戸へ行ってみましょう。
永田
おー、外も白いですが、中も白いですね笑
松本
ですね笑。同じ色番号の白を使っています。
永田
この畳もいいですね。これが噂の「麻畳」ですか。
松本
はい、MUJIとURで共同で開発したパーツになります。このプランは先ほどの鈴蘭台第1団地と同じく、元々3Kの間取りで和室が3室なのですが、3室ともに洋室化はせず和室のまま「麻畳」を敷いています。
永田
つまり畳のままで良いということですか。
松本
はい、洋室としても使える「麻畳」だからこそ、畳の持つ暖かさや遮音性を担保しながら、現代の暮らしに合う生活ができるという点ではとても優秀な畳だと思います。
永田
よくできてますね。
松本
落合は2014年に新プランを作ったので、もう10年前ですが、この頃に決めた設計ルールはずっとは変わらなくて、この「麻畳」もそうですが、壁の配線方法、キッチンのタイルの残し方とか、今も変わりません。
永田
このプランではお風呂はユニットバスなのですか?
松本
はい、技術的にはかなり苦労して導入しました。躯体雑壁を削り、排水方法の変更、給湯器の移設、扉の仕様変更など。それでもやっぱり在来浴室はずっと課題としてはあったので、当時は本当に第一歩という感じでしたね。
永田
このふすまもいいですね。透過性があるふすまでしょうか。
松本
はい、「半透明ふすま」になります。同じく「ダンボールふすま」も共同開発パーツですが、
こちらは強化プラスチックダンボールを採用しています。暗くなりがちな玄関などに光を通す建具として使用することが多いですね。
永田
それにしても住戸からの眺めがとても良いですね。
一面に真っ白い住棟が見えて、緑と空の青がとても生えますね。
松本
本当に主張のない色なので、景色に溶け込むように見えますね。
UR
それでは一階に降りてみましょうか。
永田
敷地内もきれいに整備されてますね。
永田
この駐輪場も特徴的な形してますね。
松本
かっこいいですよね。これも昔から変わらないデザインですが、屋根をトラス梁で吊っていて、あまり他の団地では見たことないですね。
永田
集会所の周辺も雰囲気あっていいですね。きれいに整備されている。
松本
この住棟サインもかっこよくて色彩計画の時も残しましたが、フラットバーを曲げただけのサインになってます。センスいいですよね笑。
UR
各住棟には、タイワンフウ(台湾楓)のレリーフのついた住棟サインがあります。
今は枝が短く剪定されて分かりませんが、屋外通路に沿ってこの樹木がたくさん植えられているのですが、紅葉の季節などはすごくきれいで、団地内の見所の一つになっています。
松本
実は昔から気になっていたのですが、タイワンフウ(台湾楓)という名前の樹木なんですね。
覚えました笑。
松本
このあたりが落合団地の最北端ですね。名谷駅から歩いて来て一番遠い場所になります。最後にちょっと休憩しましようか。このベンチのパーゴラも特徴的ですが。
永田
ようやく座れましたね笑。
松本
最後に今回のお散歩いかがでしたでしょうか。
永田
団地を堪能できて楽しかったですし、本当に緩かったですね笑。
松本
よく言われます笑。
いつも行き当たりばったりなのですが、お散歩していると普段なんとなく来ていた団地も気付くところが多くて。面白いですよね。
永田
私も団地をこんなに隅々まで探索したことはなかったので、とても新鮮でした。
これだけ大きな団地ですから、人々の暮らしの中にあるコミュニティや防災といった意識がどのくらいあるのか、またURさんがどのようにされているのかとても興味がありますね。私自身何かと寄与できることもあるんだろうなと感じています。
松本
是非!防災やコミュニティのプロである永田さんにもっと団地に関わってもらいたいと個人的には感じています。僕自身、基本的にはデザイナーとして、設計者としての視点で物事を見ていたのですが、団地の仕事に関わることで、防災やコミュニティといったところに完全に巻き込まれるかのように関わるようになって。まだまだ勉強中なので、お仕事を通じてまた色々教えてもらいたいと思っています。
永田
是非また一緒にお仕事できるといいですね。
松本
はい、是非。その舞台が団地になるのではと思っています・・!
今日はお忙しいところ本当にありがとうございました。
永田
今日は楽しかったです、ありがとうございました。
<ゲストプロフィール>
永田 宏和
NPO法人プラス・アーツ/理事長
デザイン・クリエイティブセンター神戸/センター長
1968年兵庫県生まれ。企画・プロデューサー。1993年大阪大学大学院修了後、大手建設会社勤務を経て、2001年「iop都市文化創造研究所」を設立。2006年「NPO法人プラス・アーツ」設立。2012年8月よりデザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)の副センター長、2021年4月よりセンター長を務める。主な企画・プロデュースの仕事に、「水都大阪2009・水辺の文化座」、「イザ!カエルキャラバン!」(2005~)、「地震EXPO」(2006)、「ちびっこうべ」(2012~)、「EARTH MANUAL PROJECT展」(2013~)などがある。