50代の住まいとお金④ -相続/贈与編 その2-

住まいのかたち | 2025.3.11

時代の変化にあわせて求められている、新しい平屋での暮らしについて、みなさんと一緒に考えていくプロジェクト「みんなで考える理想の平屋」を昨年より実施し、今年1月にそのプロジェクトでいただいた声を反映して更新した陽の家を発表しました。

プロジェクト内のアンケートの回答では、年代別に見ると50代の回答が最も多く、また「住まい」についての価値観が非常に多様であることがわかりました。その一方で懸念としてもっともあげられていたのが「お金」に関することです。ライフステージの変化に伴い、いざ新しい住まい方を検討しようとすると、収入や支出、税法上のことなど知らないといけない要素が多く存在します。

このコラムでは、現代の50代の「住まい」に対する意識と「お金」について考えていきます。第五回目となる今回は50代の相続/贈与についてです。前回は「50代の方が親名義の家・土地を相続するケース」について考えていきましたが、今回は「50代以上の親世代が、子ども世代に住宅購入支援を目的に財産を贈与するケース」について考えていきたいと思います。

前回までのコラムはこちらをご覧ください。
50代の住まいとお金①
50代の住まいとお金② -住宅ローン編
50代の住まいとお金③ -家の建て替え編-
50代の住まいとお金④ -相続/贈与編 その1-

贈与と贈与税について

贈与とは、「生存している個人」から無償で財産をもらう契約を言います。前回のコラムで紹介した相続は、財産を持っている人の「死亡」によって、財産が引き継がれることを指し、財産を与える人が生存しているか、死亡しているかでまず大きな違いがあります。そのため、贈与の場合は、財産を与える人、受け取る人の双方の合意が必要など、双方が生存しているからこその制約があります。

また、贈与(取得した財産)にも税金がかかります。これは生前に贈与することで相続税の課税を逃れようとする行為を防ぐという意味で、相続税を補完する役割を果たしていると言われています。

令和5年度 国土交通省「土地問題に関する国民の意識調査」では、注文住宅の購入時における贈与に該当する購入資金額の平均は、住宅建築で96万円、土地購入で53万円(いずれも令和5年度)とのことです。また、贈与した親の年齢分布を見ると、平均は68歳となっていますが、60代での贈与の割合が最も大きいことがわかります。

注文住宅の購入資金の内訳(贈与と遺産相続を抜粋)

住宅建築資金 贈与した親の年齢(令和5年度)

土地購入資金 贈与した親の年齢(令和5年度)

直系尊属(父母や祖父母など)からの贈与額(年間)と贈与税
※特例贈与財産として、特例税率を適用した場合

次に贈与税についてです。

まず、親や祖父母から資金を贈与された場合、通常は贈与税がかかります。しかし、暦年贈与制度では、1年間(1月1日から12月31日まで)に110万円までの贈与であれば非課税となります。複数の方から贈与を受けた場合は、贈与者ごとに非課税枠が適用されるのではなく、受贈者が1年間に受け取った贈与の合計額が110万円を超えると、超えた部分に贈与税がかかります。

この制度を利用して、毎年計画的に資産を移転していくことで、将来の相続税負担を軽減することが可能です。例えば、お子さまやお孫さまの住宅購入のための資金を少しずつ贈与していくといった方法が考えられます。

この贈与税の基礎控除の制度以外に、親世代が持っている財産を早めに子世代に移転することで、経済社会の活性化につなげることを目的とした「住宅取得等資金の贈与の非課税制度」と「相続時精算課税制度」という2つの制度について解説します。

住宅取得等資金の贈与の非課税制度のしくみ

子や孫が住宅を取得する際、親や祖父母からの資金贈与については、一定の条件を満たせば「住宅取得等資金の贈与税の非課税」制度を利用できます。この制度は、若い世代の住宅取得を支援し、良質な住宅ストックの形成を促進することを目的としています。

【住宅取得等資金の贈与税の非課税制度の主な要件】
※その他条件がございます。詳しくは専門家にご確認ください。
・親や祖父母から子や孫への住宅取得資金の贈与が対象
・受贈者は贈与を受けた年の1月1日時点で18歳以上で、贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下
・適用住宅として、床面積が40m²以上240m²以下であること(ただし、40m²以上50m²未満の場合は、合計所得金額が1,000万円以下の受贈者に限る)
・非課税限度額は、最大1,000万円(省エネ等住宅は最大1,000万円まで、それ以外の住宅は500万円まで)

この特例を利用する場合、上記以外に住宅の取得時期や入居時期などの要件を満たす必要があります。詳しくは専門家の方に確認してください。また、贈与を受けた年の翌年3月15日までに確定申告を行わなければなりません。さらに、贈与税の基礎控除の年間110万円の非課税枠、または相続時精算課税制度のいずれかと併用することも可能です。

例えば、親から1,000万円の住宅資金の贈与を受け、この特例を利用した場合、さらに暦年贈与の110万円の非課税枠も利用できるため、最大で1,110万円まで非課税で贈与を受けることができます。

また、この制度は2024年の税制改正により、2026年12月31日まで延長されました。

相続時精算課税制度のしくみ

相続時精算課税制度は、生前贈与と相続を一体化して課税する制度です。60歳以上の親または祖父母から、18歳以上の子または孫への贈与に適用できます。この制度を選択すると、贈与時に2,500万円までの特別控除が適用され、この範囲内であれば贈与税はかかりません。

【相続時精算課税制度の主な特徴】
※その他条件がございます。詳しくは専門家にご確認ください
・60歳以上の親または祖父母から、18歳以上の推定相続人である子または孫への贈与が対象
・2,500万円までの特別控除がある
・特別控除額を超える部分は一律20%の税率で課税
・相続時に、相続財産とみなされ相続税の課税対象となる
・一度この制度を選択すると、その後のすべての贈与にこの制度が適用される

相続時精算課税制度は、贈与時には2,500万円までの特別控除があるものの、将来の相続時には贈与財産が相続財産に加算されて相続税が計算されます。ただし、贈与時に納付した贈与税は相続税から控除されるため、二重課税は生じません。

また、2024年1月以降、特別控除の2,500万円とは別に年110万円までの基礎控除が新設されました。年110万円以下の贈与であれば贈与税は非課税となり、かつ累計2,500万円の特別控除に含める必要がありません。

住宅取得等資金の贈与と相続時精算課税制度の併用

住宅取得等資金の贈与税の非課税制度と相続時精算課税制度は併用することができます。つまり、住宅取得等資金の贈与には非課税枠が適用され、それ以外の贈与には相続時精算課税制度が適用されます。

例えば、親から1,000万円の住宅取得資金の贈与を受け、住宅取得等資金の贈与税の非課税制度を利用した場合、さらに相続時精算課税制度の2,500万円の特別控除も利用できるため、最大で3,500万円まで贈与税がかからずに資金を受け取ることが可能です。

ただし、これらの制度を併用する際は、それぞれの適用要件を満たす必要があります。また、相続時精算課税制度を選択すると、その後のすべての贈与に同制度が適用されるため、慎重な検討が必要です。

さいごに

贈与は、相続と同様に大切な資産移転の手段です。特に50代以上の親世代が子どもの住宅取得を支援するための贈与制度について今回は解説しました。「住宅取得等資金の贈与の非課税制度」と「相続時精算課税制度」を賢く活用することで、最大3,500万円まで贈与税の負担を抑えながら資金移転が可能です。ただし、これらの制度は各種条件や期限があり、一度選択すると変更できない場合もあります。詳細については、専門家にご相談いただき、ご自身の状況に最適な贈与の方法を検討されることをおすすめします。

無印良品の家のモデルハウスでも、住まいに関するご相談を承っておりますので、お気軽にご相談ください。今後のコラムでも様々な角度から50代の住まいについての意識とお金について考えていきたいと思います。興味のあるテーマがあればぜひみなさんのご意見もお聞かせください。