【old】vol.1 二つの暮らしを楽しむ家
「無印良品の家」で暮らしている方を訪ねて冬の京都へ。
家具デザイナーの小泉誠さんが、
アンティークが好きなIさん親子の家に会いに行きました。

家に会いに | 2010.2.23

エピローグ(編集後記)

上質な暮らしのわけ

「家に会いに。」は暮らしに精通しているプロの方とお客様との対談形式で、今までの施工例とは少し違った視点で「無印良品の家」から生まれる「暮らし」そのものをご紹介していく新企画です。

Vol.1は、家具をはじめとして暮らしに関わるさまざまなプロダクトのデザインを手がけ、マルチな活躍をされている小泉誠さんにご登場いただきました。

そして、この企画が決まり取材先として頭に浮かんだのが、京都のIさんの「窓の家」でした。以前、施工例として取材にお伺いしたとき、取材という事を忘れそうになるぐらい居心地が良く、その印象が強く残っていました。

今回の取材では、新築された「窓の家」だけでなく隣に建つ母屋も拝見させていただくことができました。
この母屋がとにかく素敵だったのはダイアログ1をご覧いただけるとわかると思いますが、この母屋と「窓の家」の二つの建物が一体となってIさんのライフスタイルを形成しているということが大きなポイントです。

小泉さんも、母屋に何気なく置かれた木の椅子を見て「これは教会用の椅子ですよね。こんな形のものはちょっと珍しいですよ」とか、「こんなシンプルなデザインのものはなかなかないですね」とキッチンに置かれた鉄製のレードルが気になったりと、興味津々であちこちを見ておられました。

また、家のそこここに見ることができる、手作りの逸品たちはそのエピソードも含めて素敵なものばかり。
娘さんが海外で見つけてきたテキスタイルを、お母様がフロアマットやテーブルクロスに仕上げる。
イギリスで買ってきたアンティークの型紙を使って、お母様がワンピースをつくる。
工事中職人さんが使っていた組み立て式の作業台を白く塗ってオリジナルのミシン用のワークテーブルにする。
仲の良い母娘の絆から生まれる、丁寧に作り上げられたオンリーワンの「お気に入り」たちは、既製品ではない暮らす人の「手」が加えられたあたたかみのあるものばかり。
またこれらをつくるだけでなく、日々の暮らしの中で実際に使って楽しんでいるところがまた良いところですね。

物質的な豊かさではなく、時間をかけてじっくりと選ばれたお気に入りのモノたちに囲まれて、日常と少しだけの非日常を楽しむ。
Iさんの家に会いに行ってつくづく感じました。本当に豊かで上質な暮らしとはこういうことなんだろうと。
小泉さんも「良い暮らしをされているということがとてもよくわかりますね」とおっしゃっていました。

取材中、Iさんお手製のおいしいお料理をいただいてすっかり満足してしまい、危うく今回もまた仕事であることを忘れそうになりました(笑)。Iさん本当にありがとうございました。
最後に記念として小泉さんからIさんへ小泉さんデザインの箸置きをプレゼントしていただくというサプライズも。

取材を終えて「窓の家」の「暮らしの器」としての懐の深さを改めて感じました。
次回は佐賀県の「木の家」に会いにいく予定です。今度はどんな暮らしに出会うことができるのでしょうか。
お楽しみに。(E.K)